撮影術な話 part2 ~現役○剤師の教える本当に気持ちのいい○○○~
性懲りもなく撮影に関する知識について第二弾を恐れ多くも書いてみようとしています。
今回のテーマはホワイトバランスについてです。
ホワイトバランスって?
簡単に言えば「白の定義付け」です。 色温度とはなんぞやって人はWikipediaでも見てください。
色温度 - Wikipedia
小難しい物理学的な話は取り敢えずおいておいて、実原先生の言うようにホワイトバランス(以下WB)を調節することで写真を正しい色合いで撮ることが出来るようになります。
現行のデジタルカメラでは優秀なAWB(オートホワイトバランス)機能があるためほとんど全ての状況において特に深く考えずAWBに設定しておくだけで正しい色合いで撮ることが出来るようになっています。
ただちょっとこだわって撮ってみようと思ったり、より観ている風景に近い色合いで撮ろうとなるとWBを選んで*1使っていく必要が出てきます。
メーカーによってプリセットされているWBの名称は多少異なりますが概ね①オートホワイトバランス、②太陽光(日中・昼光・自然光)、③日陰、④くもり(曇天)、⑤白熱電球(白熱灯)、⑥白色蛍光灯(蛍光灯)、⑦ストロボ、⑧マニュアル、⑨色温度指定の9~10種類程度*2になると思います。
このうち私のような初心者がAWB以外を使うとしたら②太陽光か③日陰・④くもり、⑥蛍光灯の4つくらいではないでしょうか。
まず①太陽光・自然光モードですが名前の通り晴天の日中に使うことが多くなるかと思われます。このモードで晴れた日の屋外で撮影すればほぼ間違いなく観ている風景と色合いが同じ写真が撮れるようになっているはずです。特に早朝や夕方といった少し光の色合いが違う時間帯にAWBを使うと日中に撮ったかのような色合いで撮れてしまうことがしばしありますが、この設定にしておくと早朝は早朝らしい青みがかった色合いが、夕方は黄昏時の赤みがかった色合いがくどくならない塩梅で再現されます。
日中に太陽光モードで撮影。そりゃ普通に写るだろ
夕暮れ時に太陽光モードで撮影。
早朝に太陽光モードで撮影。
次に③日陰・④くもりモードです。これらのモードは私の感覚では日陰やくもりの状況で使うWBではなく雰囲気に暖かさを加えたい時に選びます。
これらのモードでは全体的に赤味を足すことが出来るので太陽光モードでは夕方の光線の赤さが充分でない時に切り替えるとより印象的な夕暮れ時を演出することが出来ます。 僅かな差かもしれないですが、太陽光モードより日陰モード、日陰モードよりくもりモードのほうがオレンジ色の成分が強くなり夕暮れ時を強調しています。
そして3つ目は⑥蛍光灯モードです。
「蛍光灯モード?屋内で使うのか?」と思いの方もいらっしゃると思いますが、私はコレを夜景撮影に使うことが多いです。*3何故夜景に用いることが多いかというとこのWBは青みを足すことが出来るため夜空を単なる黒一色ではなく青紫色を加えたクールな雰囲気に染めることが出来るからです。そのため私の主に夜景を撮る場所である横浜や東京といった都市の硬質な感触を写すには蛍光灯モードを利用することになります。 日陰・くもりモード間での比較では分かりにくいWBの差ですがこのように暖色系である日陰・くもりモードと寒色系の蛍光灯・白熱電球モードを並べてみるとその差は一目瞭然かと思います。
とここまで読んで来た方は薄々「あれ?WB弄れば面白い写真撮れるのでは?」と思いになるでしょう、正解です。
実原先生の言うようにWBも絞りによって変化するボケ量や、シャッタースピードによって変化する躍動感と同じように写真の雰囲気をより印象的にする手段のひとつになるのです。なので「ここは日陰だから日陰モードにしよう」とか「晴れてる日中なのにくもりモードはおかしいな」とか「自然の風景なのに蛍光灯モードは違うでしょ」といった先入観に囚われることなくその風景を見てどう感じたか、その感じたものに合うWBは何かを探りながら撮影してみるとまた新たな風景の発見にも繋がるかもしれません。
最後に
どうでしょうか?全く同じ自然界の写真ですがWBの選択でここまで雰囲気に差が出ます。私は1枚目の設定が滝の涼やかさと苔むす岩の湿度、周囲の植生の緑この3点が丁度良くバランスが取れていると考えて完成としましたが、より涼やかさ・水の冷たさを強調したほうが好きな人は白熱電球や蛍光灯モードの方が好みでしょうし、ノスタルジックな雰囲気が好きな人では日陰モードの方が好きだったりはしないでしょうか?
ぜひとも皆さん、一度お手持ちの写真でWBを変えて再現像してみたり今度撮影に出かける際はAWBではなく他のプリセットを使って撮影してみたりしませんか?