散歩な話 ~菜花はオヒタシにかぎるのよ~
気がつけば2月も半分を過ぎ既に後半戦が始まり、日に日に暖かくカメラ日和が増えてきた。
この時期の撮影ターゲットとなると梅や早咲きの河津桜、そして菜の花というのがお決まりである。
流石に休日に河津まで出向いて撮影しても人だかりで落ち着いては中々撮れないだろうから今回は大人しく菜の花を撮りに行くことに。
今回私が撮影に向かったのはココ、JR二宮駅からほど近く1月末頃から2月末にかけて一足早く菜の花が拝めるとの吾妻山公園。
駅を出て正面にある観光協会の裏手から小学校を左手に見つつ山へと向かうと綺麗に整備された登山道が見えてくる。
そこを道なりにズンズン進んでいくと5月には見事なツツジが見られるであろうツツジ畑や神社、子供が楽しめるようなアスレチックが次々と現れそうして登りきった先には丹沢山地から相模湾を一望できる眺めの良い頂上に至る。
二宮~小田原、伊豆半島方面を望む。エメラルドグリーンの海はこのエリアの温暖な気候とあいまって穏やかな南国の雰囲気も。建物は至って普通な日本家屋だらけだが
天候にも恵まれ雄大な富士山を何も遮るものなく拝める。
そして私が狙っていたのはこの菜の花と富士山の共演。望遠レンズによる圧縮を狙ってみたのはいいが被写界深度の関係で富士山をくっきりと描写しようとすると菜の花が単なる黄色い帯になってしまう……。
手前の菜の花もある程度形の分かるようにとF32まで絞り込んだところ当然のごとく小絞りボケが発生して悲惨なことに。(up出来るような代物ではないので写真なし)
遠景とその手前の被写体を両立して撮影できるスキルを身に着けたいものである。
ちなみに今回の撮影では久し振りにソフトフィルターを動員。菜の花や桜といったある程度のまとまりとして写したほうが絵になる花は下手に一輪一輪描写するとクドくなってしまうのでこういったぼかすフィルターを使って柔らかくしたほうが綺麗ではないかと個人的に思っている。
今回使用したフィルターはケンコー・トキナーの「プロソフトン[A]W」とマルミ光機の「シルキーソフトB」の2種。
www.kenko-tokina.co.jp
マルミ光機株式会社:製品情報:フィルム向け・その他
ソフト効果は後者の方が圧倒的に強く使い所を間違うとピンボケ写真のようにも見えてしまうという。
↑これがプロソフトン[A]のソフト効果。F8まで絞っていることもあるがソフト効果の中にも芯があるのが分かる。
↑一方のシルキーソフトはこの柔らかさである。もともとF4以下では描写が柔らかくなるEF50mm F1.2L USMというのもあるがそれにさらに柔らかさを加えているため花の輪郭が溶けてしまっている。
普段使いするにはプロソフトンの方が使いやすいか?もっとアグレッシブにハイキーで白飛びする写真を撮れるならシルキーも積極的に使っていけるのではないかとは思う。
イルミネーションの光も増幅できるという話なので一度夜景撮影に装備してその効果の程を確かめてみたい。
東京な話 ~東京は夜の六時~
先日友人の結婚式に参列してきた。(n人目)
流石に大学卒業後三年もすると同級生の結婚の話題が増えてくる。
まあそんなことはさておき、東京で結婚式が開かれたお陰で久し振りに日の落ちた時間に東京駅近辺を歩くことが出来たので整備の済んだ東京駅を撮影することに。
工事用フェンスが取り除かれその優美な姿を完全な形でついにすべて見れるように!三脚持ってきてどっしり構えて撮影したかったところですが今回はそこまで荷物増やせなかったのでレンズの手ぶれ補正に頼りっぱなし。
丸の内側の赤レンガの重厚な雰囲気とは打って変わって反対に位置する八重洲口は高層ビルとガラス張りの建物からなる近代的な雰囲気。
こういうところはWBを蛍光灯などにして青みを加えるのが好き。
京橋駅⇔日本橋の通りの風景も中々絵になる。
一度でいいからこれくらいの時間から一晩中東京エリアをうろつきながら夜景を撮影するというのをやってみたい。職務質問されないように気をつけないとな
鎌倉な話 ~トワイライトカマクラ~
今年に入って既に4回目の鎌倉訪問。
この日の鎌倉は非常に風が強く海岸の砂が巻き上げられているのか大分靄がかかってしまい遠景に関してはピントが甘いのかただ靄のせいでソフトになっているのかが分からなくなっている。
三連休中日で観光客が多くカマクラニュービーも多いため、食べ物を狙って数多くのトビが空を旋回している。*1
風に乗って飛翔するトビを追いかけて望遠レンズで撮影するのは中々骨が折れる。狭い画角から簡単にロストしてしまうのと動体撮影に特化した7Dシリーズ*2ではないため私の持ちうる技術をテクノロジーで十二分に補えず非常に歩留まりの悪い結果に……。
鳥貴族の皆様は私の使うレンズよりもさらに望遠画角のを*3使っていたり単焦点レンズ*4を使っていながら素晴らしい写真を収めているのは本当に驚嘆しかない。
海に入るために誰かが脱いで忘れていったのか、それともいま冬の海に漂っているサーファーの物か分からないが脱ぎ捨てられたクロックス、砂浜に打ち捨てられているビーサンやクロックスはなぜか行儀よく並んでいることが多いのは常々疑問である。
湘南の海はいかなる季節であろうといかなる天候であろうとサーファーにエンカウントする場所である。オンシーズンの夏が近づくとそれこそサーフ装備した方々におうごんのツメを取った後のピラミット*5のよう。
今日は強風のためか中々に波が高く、波待ちで待機しているサーファーが遠目から見ると波に攫われて溺れているのじゃないかと錯覚するほど。
もう後一ヶ月ほどするとシラス漁解禁で賑わうようになる腰越漁港。まだこの時期はしらすが禁漁期のため人もまばらで防波堤でゆったりと釣り糸を垂らす釣り人が幾人かいるくらい。波が高くて漁に出ていないのか干物を作っていそうな場所にはわかめが吊り下げられパリパリになっている。
YOKOHAMAを代表するアーティストである「ゆず」が『夏色』のPV似て使っていた”あの長い長い下り坂”がここ。
地元じゃない人が紹介すると時折間違って「鎌倉高校脇の坂」となっていることが多いが、実際は県立七里ヶ浜高校と鎌倉プリンスホテルの間にある坂です。*6
ケンコー・トキナーのトワイライトレッドフィルターを使用しての撮影。
www.kenko-tokina.co.jp
夕暮れ時の赤味をかなり強調して全体に強い赤紫を加えるのでかなり飛び道具的な使用方法になるが面白い絵を撮るのには中々便利なフィルター。
姉妹品にトワイライトブルーもあるので今度はそちらにも手を出してみたい。
弱点としてはかなり色の濃いカラーフィルターのため2段の減光があるのとフィルター枠が厚いので広角レンズではケラれてしまうという……。撮影方法によっては周辺減光に溶け込ますことも出来るけど難しいところ。
しかし、近場でアクセスが良いからと何度も鎌倉に来ては撮影しているがそろそろ鎌倉エリアで撮影する写真が頭打ちになってきた。
かなり歩き回って面白そうなスポットを目星つけているというチノ=リはあるが、ただ単に風景を撮るだけということでは面白みが無くなってきている。ポートレートを撮ってみたら面白そうではあるが自分の撮影スタイルで行くと知らないモデルを連れ回してポーズ決めて撮るということは100%失敗することが確定的に明らかなので友人に依頼するしか無いか……。
空港な話 ~羽田編~
月曜日から悠々と休みキメて羽田空港に遊びに行ってきました。
羽田空港は京急蒲田駅が立体化したおかげか横浜からのアクセスが非常に便利になりふらっと手軽に飛行機取りにいけるようになったのはありがたい限りです。
今回は今まで行ったことのなかった国際線ターミナルなるところへも行ってみました。
国際線ターミナルはやはり訪日客を意識してか和風を全面に押し出した区画があり京都や鎌倉、金沢といった和を売りにしている観光地の仲見世のような通りがあったり神楽殿のようなものが設置されているなど近代的な空港設備とのギャップがなかなか面白いところです。
国際線ターミナルからも滑走路はよく見えるのですが、あいにくの風向きのせいか今回は真正面の滑走路から飛び立ったり降り立つようなことはなく駐機しているのを撮る程度しかできませんでした。
場所を変えて愛と信頼の国内線ターミナルです。
ここに来るとこの構図で撮らずにはいられなくなります。
羽田の第二ターミナルはちょうど滑走路の向こう側に東京スカイツリーやゲートウェイブリッジが見えるためその気になればこのように航空機と絡めて撮影することも出来るのです。
今回の撮影はあまり取れ高は良くなかったですね……。多分時間と風向きの関係で取りやすい位置に便数来なかったためと思われます。
また今回始めて100-400mmのライトバズーカを振り回してみたのですがさすがタムロンですね、手ぶれ補正ではピタッとファインダー内像が止まるお陰で構図を合わせやすかったり移動する被写体をロストせずに済みました。
月蝕な話 ~月面兎はモチツキの夢を見るか~
去る1/31は月の大きく見えるスーパームーンと月に2回の満月であるブルームーン、そして皆既月食と3つの天体イベントが重なり一日中その話題で持ちきりでしたね。
naojcamp.nao.ac.jp
カメラクラスタの端くれである私も手持ちの望遠レンズ持ち出して撮影してまいりました。(家にちゃんとした古い天体望遠鏡あるんだけどどこかのレンズが壊れてしまっているらしい残念)
欠け始めの月です。このくらいの欠け具合であればピントも合わせやすく、また露出時間も早く出来るのでクレーターまで写しやすいです。
そしてこちらがほぼ皆既月食となった月、ここまで来るとMFでもなかなかピント合わせにくく、感度も上げざるをえないのでどうしても私の技量ではぼやけてしまいます……。
こういう月の天体イベントは単体でとっても面白みにかけることが多いので本当はどこかに出かけて建物と絡めて撮ったりしたら面白いのでしょうが、なかなかそういうタイミングで出掛けられず地元で撮影するのが精一杯です。
こういった建造物との写真を一度でいいから撮ってみたい。
鎌倉な話 ~雪、無音、海辺にて~
今回もタイトル詐欺です。(海辺と言えるほど海辺には行っていない)
昼過ぎから雪の予報と聞いていたので先日参加してきた友人の結婚式2次会の写真をフォトブックにしつつ外の様子を窺っていたところいい具合に雪が降り始めたので前々からやってみたかった雪の鎌倉写真を撮りに出撃しました。
湘南モノレールは懸垂式*1のため雪でも容赦なくジェットコースター運行*2です。
湘南江の島駅より鎌倉山方面はホワイトアウトになりつつあります。
一度は撮ってみたかった江の島~腰越の路面区間での写真。
流石に平日の昼間で雪も降ってるとなると交通量も少なく江ノ電単体で撮るのが簡単でした。
腰越駅まで歩いて鎌倉行きの列車を待っているとひときわレトロな雰囲気の車両が近付いてくるじゃないですか、そうです300形です。
これは次の鎌倉高校前駅にて撮るしか無いということで隣駅ですがすぐに降りてカメラを構えました。
で、なんとか撮れたのがこれ。余計な電柱とかをトリミングしたら画角的にはAPS-Cで撮ったくらいのサイズになりましたと。可能であれば踏切を渡った反対側から撮れたら良かったのですが。
次の鎌倉方面列車まで少し時間があるので一瞬海辺を見てみようかと*3思いましたがその前の車窓で江の島の島影どころかその手前の小動岬ですらうっすら霞むような天候だったので今回は浜へはおりずそのまま駅舎に戻って待つことにしました。
雪の長谷駅。観光オンシーズンであれば入場規制により30分待ち*4ともなる駅ですが今日は当然ながら人もまばらで閑散としています。
なんとここで先程撮影のために降りた300形が折り返して来ました。もう1本遅ければこの後に撮りに行く御霊神社で捕まえられたのですが残念……。
まるで雪国のローカル線かのような佇まい。
参道を横切る線路。
御霊神社境内。地元の子供でしょうかこの寒さにも関わらず元気に境内をはしゃぎまわっていました。
紫陽花の時期はこの手前に咲く紫陽花と絡めて江ノ電を撮ることの出来る有名な写真スポットです。今日は私しかいなかったので射線を気にせず伸び伸びと撮影に専念することが出来ました。
最後は鎌倉駅周辺です。八幡様までは行かなかったのですが雪の若宮大路をちゃんとみれたのは良かったですな。外国人カメラマンも大興奮しながら撮影していました。
寿福寺の参道。
通常、内部は公開していないお寺なのでいつもこの構図ですがやはり雪というアクセントがあると一気に雰囲気が変わります。
本当の雪国ではこういったお寺の風景がもっと色々と見ることが出来るのですね。東北の方へ旅したくなります。
家に帰り着いた後は雪まみれになってしまったカメラをせっせと拭いて防湿庫に放り込んだところ20%台だった庫内湿度がみるみる上昇し50%に到達、悪天候での撮影はなめてはいけませんね……。
撮影術な話 part2 ~現役○剤師の教える本当に気持ちのいい○○○~
性懲りもなく撮影に関する知識について第二弾を恐れ多くも書いてみようとしています。
今回のテーマはホワイトバランスについてです。
ホワイトバランスって?
簡単に言えば「白の定義付け」です。 色温度とはなんぞやって人はWikipediaでも見てください。
色温度 - Wikipedia
小難しい物理学的な話は取り敢えずおいておいて、実原先生の言うようにホワイトバランス(以下WB)を調節することで写真を正しい色合いで撮ることが出来るようになります。
現行のデジタルカメラでは優秀なAWB(オートホワイトバランス)機能があるためほとんど全ての状況において特に深く考えずAWBに設定しておくだけで正しい色合いで撮ることが出来るようになっています。
ただちょっとこだわって撮ってみようと思ったり、より観ている風景に近い色合いで撮ろうとなるとWBを選んで*1使っていく必要が出てきます。
メーカーによってプリセットされているWBの名称は多少異なりますが概ね①オートホワイトバランス、②太陽光(日中・昼光・自然光)、③日陰、④くもり(曇天)、⑤白熱電球(白熱灯)、⑥白色蛍光灯(蛍光灯)、⑦ストロボ、⑧マニュアル、⑨色温度指定の9~10種類程度*2になると思います。
このうち私のような初心者がAWB以外を使うとしたら②太陽光か③日陰・④くもり、⑥蛍光灯の4つくらいではないでしょうか。
まず①太陽光・自然光モードですが名前の通り晴天の日中に使うことが多くなるかと思われます。このモードで晴れた日の屋外で撮影すればほぼ間違いなく観ている風景と色合いが同じ写真が撮れるようになっているはずです。特に早朝や夕方といった少し光の色合いが違う時間帯にAWBを使うと日中に撮ったかのような色合いで撮れてしまうことがしばしありますが、この設定にしておくと早朝は早朝らしい青みがかった色合いが、夕方は黄昏時の赤みがかった色合いがくどくならない塩梅で再現されます。
日中に太陽光モードで撮影。そりゃ普通に写るだろ
夕暮れ時に太陽光モードで撮影。
早朝に太陽光モードで撮影。
次に③日陰・④くもりモードです。これらのモードは私の感覚では日陰やくもりの状況で使うWBではなく雰囲気に暖かさを加えたい時に選びます。
これらのモードでは全体的に赤味を足すことが出来るので太陽光モードでは夕方の光線の赤さが充分でない時に切り替えるとより印象的な夕暮れ時を演出することが出来ます。 僅かな差かもしれないですが、太陽光モードより日陰モード、日陰モードよりくもりモードのほうがオレンジ色の成分が強くなり夕暮れ時を強調しています。
そして3つ目は⑥蛍光灯モードです。
「蛍光灯モード?屋内で使うのか?」と思いの方もいらっしゃると思いますが、私はコレを夜景撮影に使うことが多いです。*3何故夜景に用いることが多いかというとこのWBは青みを足すことが出来るため夜空を単なる黒一色ではなく青紫色を加えたクールな雰囲気に染めることが出来るからです。そのため私の主に夜景を撮る場所である横浜や東京といった都市の硬質な感触を写すには蛍光灯モードを利用することになります。 日陰・くもりモード間での比較では分かりにくいWBの差ですがこのように暖色系である日陰・くもりモードと寒色系の蛍光灯・白熱電球モードを並べてみるとその差は一目瞭然かと思います。
とここまで読んで来た方は薄々「あれ?WB弄れば面白い写真撮れるのでは?」と思いになるでしょう、正解です。
実原先生の言うようにWBも絞りによって変化するボケ量や、シャッタースピードによって変化する躍動感と同じように写真の雰囲気をより印象的にする手段のひとつになるのです。なので「ここは日陰だから日陰モードにしよう」とか「晴れてる日中なのにくもりモードはおかしいな」とか「自然の風景なのに蛍光灯モードは違うでしょ」といった先入観に囚われることなくその風景を見てどう感じたか、その感じたものに合うWBは何かを探りながら撮影してみるとまた新たな風景の発見にも繋がるかもしれません。
最後に
どうでしょうか?全く同じ自然界の写真ですがWBの選択でここまで雰囲気に差が出ます。私は1枚目の設定が滝の涼やかさと苔むす岩の湿度、周囲の植生の緑この3点が丁度良くバランスが取れていると考えて完成としましたが、より涼やかさ・水の冷たさを強調したほうが好きな人は白熱電球や蛍光灯モードの方が好みでしょうし、ノスタルジックな雰囲気が好きな人では日陰モードの方が好きだったりはしないでしょうか?
ぜひとも皆さん、一度お手持ちの写真でWBを変えて再現像してみたり今度撮影に出かける際はAWBではなく他のプリセットを使って撮影してみたりしませんか?